科学から分かる「音の条件」と「使うべきモジュール」
はじめに
電子工作やガジェットを子ども向けに作っていると、
「この音、なぜか怖がるな…」
「大人には平気なのに、子どもは嫌がる」
という場面に何度も出会います。
実はこれ、好みや性格の問題ではなく、子どもの脳と聴覚の発達特性によるものです。
この記事では、
- なぜ子どもは電子音を怖がるのか
- どんな音なら安心できるのか
- 具体的にどんな音・モジュールを使えばいいのか
を、科学 → 設計 → 実装の順で分かりやすくまとめます。
子どもは「大人と同じ音」を聞いていない
子どもの聴覚の特徴
子どもの耳は大人よりも
- 高い周波数に敏感
- 音の立ち上がりに反応しやすい
- 音源が近く感じやすい
という特徴があります。
そのため大人には
「ちょっと鳴っただけ」
に聞こえる電子音でも、子どもには
鋭く・大きく・突然に感じられることがあります。
特に電子音で多用される2kHz〜6kHz帯は、注意喚起に適している反面、恐怖反応を引き起こしやすい帯域です。
「怖い」は耳ではなく脳が判断している
扁桃体と前頭前野
恐怖や不安を即座に判断するのが扁桃体。
一方で、
「これは安全」「意味がある音」
と説明するのが前頭前野です。
子どもは前頭前野がまだ未発達なため、
- 意味が分からない音
- 予測できない音
- 制御できない音
に対して、扁桃体が即・危険判定を出しやすくなります。
これが、電子音を怖がる正体です。
子どもが怖がりやすい電子音の特徴

1. 一定で長く続く音
- ピーーー
- ブーーー
終わりが見えない音は、恐怖を増幅します。
2. 低く唸るような音
低周波音は、大型生物の唸り声に近く、本能的警戒を呼び起こします。
3. 突然鳴る大音量
立ち上がりの急な音は、驚愕反射を直接刺激します。
4. 理由が分からない音
「なぜ鳴ったのか分からない」音は、恐怖条件付けが起きやすくなります。
逆に「怖くならない音」の条件
結論から言うと、子どもが安心する音には共通点があります。
- 短い
- 音程が変化する
- 自分の操作と結びついている
- 必ず終わる
音そのものより、意味づけできるかどうかが重要です。
科学的に安全な音の設計テンプレ

おすすめ条件
- 周波数:1kHz〜3kHz中心
- 長さ:0.3〜1.0秒
- 音程:単音ではなく変化あり
- 音量:小さめ(後で調整)
OKな音のイメージ
- ピッ → ポン
- ピコ♪
- テッテレー(短)
NGになりやすい音
- 一定音のビープ
- 低音ブザー
- 鳴りっぱなし
子ども向けにおすすめの音源モジュール
DFPlayer mini(最推奨)
おすすめ度:★★★★★
- 自然な音質
- 音量調整が簡単
- 効果音・声・BGMが使える
人の声やメロディは意味が伝わりやすく、前頭前野で処理されやすいため、恐怖につながりにくいのが最大のメリットです。
圧電ブザー(PWM制御)
おすすめ度:★★★★☆
tone()関数で音程を変化させれば安全。
鳴らしっぱなしはNG。
スピーカー+アンプ(PAM8403など)
おすすめ度:★★★★☆
フェードイン・アウトができ、音の角が取れるため安心感が高い構成です。
実践向け:怖くならない音レシピ
起動音
- 1.5kHz → 2.0kHz(0.2秒)
- または「ピンポン♪」
ボタン操作音
- 2.0kHz(0.05秒)
- 押した瞬間に鳴る
注意喚起音
- 段階的に鳴らす
- いきなり鳴らさない
終了音
- フェードアウト
- 声で「おしまい」
避けた方がいい構成
- 常時鳴動ブザー
- 音量固定の高出力スピーカー
- 低周波振動と音の併用
これらは制御不能感を生みやすく、恐怖につながります。
まとめ
子どもが電子音を怖がるかどうかは、
音の種類ではなく
脳が意味づけできるかどうか
で決まります。
- 自分で鳴らせる
- 終わりが分かる
- 優しい変化がある
この条件を満たせば、電子音は「怖い刺激」ではなく、安心できるフィードバックになります。
子ども向けガジェットを作るなら、
音は最後ではなく、最初に設計する。
それだけで、失敗は激減します。


