電子工作を始めると「部品代をできるだけ安くしたい」と思うもの。そんなとき頼りになるのが100均ショップです。LEDや電池ケースなど、意外に使える部品が揃っています。
ただし一方で、「使えそうに見えて実は電子工作に向かない」商品も多いのが落とし穴。この記事では、おすすめの100均電子部品と逆に使えない商品を比較して紹介します。
100均電子部品|おすすめできるもの vs 使えないもの【一覧まとめ】

分類 | 商品名(例) | 評価 | 理由・特徴 |
---|---|---|---|
✅おすすめ | LEDキャンドルライト | ★★★★★ | LED・電池ボックス・制御回路がセット。ゆらぎ回路もあり実験に最適 |
✅おすすめ | 小型スピーカー(音声キーホルダー等) | ★★★★☆ | マイコンやアンプと組み合わせて音声出力に流用できる |
✅おすすめ | プッシュスイッチ/タクトスイッチ | ★★★★★ | 基本部品として必須。小型で安価に揃えられる |
✅おすすめ | USBケーブル(データ対応タイプ) | ★★★★☆ | Arduinoやマイコンの書き込みに利用可能。見分けがやや難しい点に注意 |
✅おすすめ | ワニ口クリップ | ★★★★☆ | 実験配線に便利。導通チェックや仮組みに重宝する |
✅おすすめ | 小型モーターファン | ★★★★☆ | 単純な回転実験や風を使った工作に流用可能 |
❌使えない | USB充電ケーブル(充電専用タイプ) | ★★☆☆☆ | データ線が無く、Arduino書き込みやシリアル通信には使えない |
❌使えない | モバイルバッテリー | ★★☆☆☆ | 低消費電流で自動オフ。マイコンの待機電流に不向き |
❌使えない | イルミネーションライト | ★☆☆☆☆ | 制御IC入りで点滅パターン固定。LED単体での流用が困難 |
❌使えない | メロディIC入りおもちゃ | ★☆☆☆☆ | ROM固定の曲データ。仕様非公開で拡張不可 |
❌使えない | リモコン付きLEDライト | ★☆☆☆☆ | 独自IC・リモコン規格不明。自由な制御は不可 |
❌使えない | 圧電ブザー(アクティブ型) | ★☆☆☆☆ | 内部発振で単音「ピー」しか鳴らない。音階制御には不向き |
❌使えない | 配線材・安価なクリップ類 | ★☆☆☆☆ | 導体が細すぎたり抵抗大で接触不良や断線が多い |
- 使えるもの(おすすめ)は、シンプル構造で部品の流用や加工がしやすく、電子工作の素材として大変有用。
- 使えないものは、制御ICを内蔵していたり、動作が固定化されていたり、工作に向かない構造が多い。
- アドバイスとして、より柔軟な使い方をしたい場合は「生のLED+抵抗」「DFPlayer mini」「ISD1820」「既製品を流用しつつ別途コントローラを用意する」といった方法が紹介されていました。
🔧 おすすめの電子部品

1) LEDキャンドルライト
特徴
- 中に白色LED+抵抗+ボタン電池ケースが入っている
- 基本的に3V前後の電源で点灯
- ろうそく風の「ゆらぎIC」付きのものもある
使い道
- LEDの点灯実験
- 電池ホルダーとして流用
- LEDを取り出して、ArduinoでPWM制御して「本物のゆらぎ風」に
2) 小型スピーカー(例:ダイソー「ブザー玩具」)
特徴
- 小型の8Ωスピーカーが内蔵されていることが多い
- ケースや回路を外せば素子単体を取り出せる
使い道
- Arduino+PWMで音階を鳴らす
- DFPlayer miniと組み合わせて音楽再生
- センサーの警告音用アラーム
3) プッシュスイッチ・タクトスイッチ(例「ON/OFFスイッチ付きタップ」分解)
特徴
- シンプルな機械式スイッチが手に入る
- タクトスイッチ入りのおもちゃも多い
使い道
- ユーザー入力ボタンとして
- リセットスイッチ代わりに
- 小型ロボットの「押すと動く仕組み」に
4) USBケーブル(データ対応タイプ)
特徴
- 「充電・データ通信対応」と書かれた商品はD+/D−配線あり
- Micro-B/USB-Cなど種類豊富
使い道
- Arduino UNO/ESP32の書き込み
- PCとのシリアルモニタ通信
- USB給電しながらデータ通信
5) ワニ口クリップ
特徴
- ダイソーで「工作用配線」「ミノムシクリップ」などが売られている
使い道
- ワニ口クリップで電池や大きめの端子に仮固定
6) 小型モーターファン(例 ダイソー「ハンディ扇風機」)
特徴
- 中にDCモーター+ファン羽根が入っている
- 3〜5Vで駆動、回転数が高い
使い道
- DCモーター制御の基礎実験
- モータードライバIC(L293Dなど)と組み合わせて制御
- 工作ロボットの動力源
逆に使えそうで使えない100均電子部品

1) USB充電専用ケーブル(例:セリア/ダイソー各種)
使えない理由
- 多くが電源線(VBUS/GND)の2本のみで、データ線(D+/D−)が未配線。
- Arduino/ESP32の書き込みやシリアル通信ではPCがUSBデバイスを認識できない。
- USB-Cタイプでも、CCピンで充電交渉のみ・データ線未結線の“充電専用”がある。
見分け方
- パッケージに「充電専用」と明記されていないか確認。
- PCに挿しても「デバイス接続音がしない/ポートに現れない」=ほぼ充電専用。
- 透かすと導体が極端に少ない/細いものは要注意。
代替案
- 「充電・データ通信」明記のケーブル(USB2.0フル配線)。
- 工作ならMicro-B/USB-Cでも“データ対応”と書かれたものを選ぶ。
2) モバイルバッテリー(例:ダイソー 2000mAh等)
使えない理由
- 多くのPBは低電流時オートカット(例:50〜100mA未満で出力停止)。
- LED 1個やマイコン待機中(20〜40mA)だと電源が勝手に落ちる。
- 昇圧コンバータのリップルや突入電流制御で、リセットがかかることがある。
見分け方
- USBテスターで流れる電流を確認 → 50mA未満で落ちるなら相性NG。
- 小負荷で数分放置し、勝手にOFFにならないかチェック。
代替案・回避策
- 低電流モード対応のPB(“小電流デバイス対応”などと明記)。
- ダミー負荷を並列追加(例:100Ω/1W抵抗 ≒50mA)※発熱に注意。
- 単3×3/4本の電池ケース+LDO(3.3V/5V)など素直な電源を使う。
3) イルミネーションライト(例:ダイソー「LEDイルミネーション」)
使えない理由
- 基板上にCOB(樹脂封止)マイコンが実装され、点滅パターン固定。
- LEDが直列/並列や専用電流制御になっており、個別制御がほぼ不可能。
- LEDだけ取り出しても定格・極性・VF不明で扱いづらい。
見分け方
- 小さな黒い樹脂の“のり”状チップ=COB制御のサイン。
- 配線が2本のみでモード切替スイッチが付くタイプは、ほぼ固定点滅。
代替案
- 生のLED+抵抗を買う(秋月電子などの袋入りが安価)
4) メロディIC入りおもちゃ(例:誕生日ソングキーホルダー)
使えない理由
- マスクROM/専用ICで曲固定、再プログラム不可。
- トリガ入力や出力段が仕様非公開で、外部制御に向かない。
- スピーカー駆動も電圧・電流がギリギリで拡張しにくい。
見分け方
- 基板にIC(COB含む)+数点の受動部品のみ。データシートなし。
- 「押すと一定の曲が流れるだけ」=外部制御困難の典型。
代替案
- DFPlayer mini+マイクロSDで好きな音源を再生。
- ISD1820などの録音再生モジュール。
5) リモコン付きLEDライト(例:セリア「IRリモコンLED」)
使えない理由
- ライト側に専用IC+受光モジュール内蔵で、既定のコードのみ受付。
- Arduino側から自由制御できない。
- 中にはRF(赤外線でなく無線)の類似外観品もある。
見分け方
- 制御ICが固定だと流用困難。
- リモコンに規格(NEC/RC5等)表記なしは要注意。
代替案
- 受光モジュール(VS1838B等)を個別購入し、学習→送信で自作。
- 既製ライトはそのまま使い、別途LEDテープ+コントローラを導入。
6) 圧電ブザー(アクティブ型おもちゃ)
使えない理由
- アクティブブザーは内部に発振回路を持ち、電圧をかけると単音“ピー”のみ。
- PWMや周波数可変でメロディ出力できない。
見分け方
- 本体や台紙に“Active”、“DCで鳴ります”等の記載。
- 2ピンのみ・極性表示ありはアクティブの可能性大。
代替案
- しっかり音楽を流したいならDFPlayer mini等に切替。
7) 「なんとなく使えそう」な配線材・クリップ類
使えない理由
- 細すぎる導体や鋼クリップ(電気向けでない)は接触抵抗が大。
- ブレッドボードに合わない径・硬さで抜けやすい/断線しやすい。
見分け
- クリップは導通面が広い電気工作向けのミノムシを。
代替案
- ジャンパーワイヤセット(オス-オス/メス-メス)をまとめ買い。
- ワニ口クリップは電気工作用を選ぶ。
まとめ
100均の電子グッズは、シンプル設計の商品は流用しやすく、IC制御系は使いにくいという特徴があります。
👉 初心者が狙うなら
- LEDキャンドルライト
- 電池ケース
- プッシュライト
- 音声キーホルダー
あたりが間違いなし。
逆に「リモコン付き」「イルミネーション」「音楽おもちゃ」などは避けたほうが安心です。